2011年7月31日日曜日

「独居老人」って言うな!

先日の新聞に、「独居老人の世帯が初めて500万世帯を超えた」とありました。

ドッキョロージン、かあ。なんか、さびしーい感じがしますねえ。
身寄りも、友人もいない、孤「独」で、寂しい「老人」が、薄暗い部屋でぽつねんとして「居」る様子が目に浮かびます。

「そうなんだ、孤独な一人暮らしを強いられている老人が、そんなにも増えたんだ。かわいそう。世の中、どうなっているんだ。家族は、そんな年老いた親をほうっておいて、いいのか。冷たい世の中になったもんだ。みんな、行き着く先は、孤独死か・・・」というネガティブな気持ちになります。

よく読むと、その「老人」は、65歳以上の高齢者を指すのだそうです。

ちょ、ちょっと、待ってくださいよ。私なんか、あと数年で「老人」ですか。それで、一人暮らししていたら、「独居老人」ですか。ええー、かんべんしてくださいよ。

「独居」の何が悪いって、「独居」という響きが、「孤独」とか「独居房(!)」とかいう、くらーいイメージを連想させるからじゃないでしょうか。
平均寿命が90歳にもなろうかという日本では、 60代や70代では、「老人」とは、呼ばれたくはないでですよね。(80歳になっても、受け入れるかどうかも疑問)

「独居老人」の言葉が新聞に現れ始めたのは、調べてみると、1979年あたりからでした。 それも、犯罪被害者としての記事がほとんど。これも、「独居老人」にマイナスイメージを持つ理由のひとつかもしれませんね。

言葉は、大事です。以前、新聞の記事には「老婆」「老女」という言葉が頻繁に出てきました。最近では「女性(87歳)」「男性(90歳)」なんて書いてあります。「老人」という言葉も、「老人ホーム」「老人クラブ」のような使い方以外には、あまり見られなくなりました。社会全体が、差別的な言葉は使わないような流れになっていることは、とてもうれしいです。

「独居老人」も、「一人暮らしの高齢者」 と書いてあれば、ネガティブな印象はなくなります。新聞の場合は文字数の制限もあるので、「単身高齢者」なんかはどうでしょうね。「単身赴任」と同じで、かなりニュートラルな感じになります。これなら、私も、呼ばれてもいやな気分にはなりません。

一人暮らしを孤独で惨めなものにするか、気楽で楽しいものにするかは、その人の心がけも大きいでしょう。一人暮らし高齢者に対する世間全般のマイナスイメージは、私たち自身が、はつらつと生きがいをもって自立した暮らしをすることで、変えていかなければ、と思いますね。